HACCPをやらなければいけない理由2「飲食店での事故が多い」

続いて、HACCPをやらなければいけない理由の2、それが飲食店の食中毒事故が多いということです。

図3のグラフをご覧ください。

図3 平成30年全国食中毒の事件数/患者数

これが平成30年の日本全国て起きた食中毒の発生状況です。左側が食中毒の事件数ですけれど、一般飲食店による事件数は722件とあって、1年間で起きた日本国内の食中毒の件数のうち、約54.3%を飲食店が占めているということになります。

そして右側の図は患者数です。患者数も49.6%が飲食店を占めているという形になります。

したがって、日本の食中毒の約半分は患者数・事件数ともに飲食店で起きているということになりますので、皆さんが今運営している飲食店というのは、全業種の中で最も食中毒のリスクが高いというふうにいえると思います。

したがって、飲食店こそHACCPをやって、食中毒予防をしないといけないという状況になっているということがHACCPをやる理由の二つ目ということになります。

HACCPをやらなければいけない理由3「死亡事故や重大な後遺症を起こしてしまう」

そして、飲食店でHACCPをやらなければいけない理由の3つめが、場合によっては死亡事故や重大な後遺症を起こしてしまうというところです。

具体的な食中毒事故の概要を見ながらその理由を話していきたいと思います。図4を御覧ください。

図4 カンピロバクター食中毒事例(平成29年)

事故の概要は、“平成28年3月、兵庫県にて、店舗に来店した親子がとりササミのカンピロバクターによる食中毒を発症。息子(10歳)は快復したが、父親(42歳)はカンピロバクター食中毒が原因と考えられるギランバレー症候群を発症し、四肢の麻痺により日常生活に介助を要するため、後遺障害1級と認定されました。”というものです。

こちらの事故は子どもがいて、42歳の働きざかりということもあって、損害賠償金が約1億円で和解されるということになりました。

後遺障害が1級は簡単に言うと寝たきりです。

私事で恐縮ですが、今、私には小学校3年生の娘がいます。例えば娘と一緒に夜ごはんを焼き鳥屋さんに食べに行って、それで「おいしいね」と言いながら帰ってきたら食中毒になってしまって、それで寝たきりになってしまう。

娘が悲しんでいる時や、何かうれしいことがあったとしても、自分の手で二度と抱きしめてあげることができないと事になってしまったら、私は正直1億円もらっても和解なんてできないと思います。

食中毒事故というのはこんなふうに本当に悲しい出来事を起こしてしまうというところがあるので、絶対に起こしてはいけないですし、しっかりと予防をしていくということが重要になっていきます。

【まとめ】なぜ飲食店でHACCPをやらないといけないか

まとめますと、飲食店でHACCPに取り組む理由というのは、

一つ目が、法律が変わり、HACCPが制度化されたということです。

二つ目が、飲食店での食中毒事故が多く、とってもリスクが高い業種だということです。

三つ目(3番目)が、たとえ飲食店であっても食中毒事故起きた場合には死亡事故や重大な後遺症を起こしてしまう可能性があるということです。

この三つをしっかり理解して、私たちはHACCPに取り組んでいく必要があるので、頑張っていきましょう。

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