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第13話 地域一番を狙える“特定の利用動機”とは?


前回、地域に根ざしたお店がブランド化するためには、ターゲットや利用頻度が限定されてもいいので、まずは狭いジャンル、特定の利用動機で一番を目指すのがおススメ!というお話をしました。

しかし、自店にふさわしい“特定の利用動機”を絞り込むというこのステップは、実は悩む方も少なくないんです。

そこで今回はまず、今時の消費者の財布のひもがゆるむ“利用動機”のトレンドについてお話ししたいと思います。

【今時の成熟した消費者の財布のひもがゆるむ“利用動機”】

私たちの周りは今、基本的にモノであふれかえっています。
飲食店選びにおいても「一度でいいから〇〇を食べてみたい」とか「あの店の絶品〇〇を味わいたい」といった“モノ”よりのニーズより、「娘の誕生日を全力でお祝いしたい」とか「久しぶりに帰省する孫の喜ぶ顔が見たい」とか「彼女との会話が弾む食事をしたい」といった“コト”よりのニーズの方が多いはず。

つまり、平日のランチのようなエネルギー補給的なニーズは別として、自分が希望する(“コト”よりの)ニーズをかなえてくれるお店はどこか?という基準でお店選びをするのが主流です。

そして、こういうニーズこそ、地域に根ざしたこだわりの個店・専門店が強みを発揮できるところでもあると思います。

ですので、自店の料理や接客のクオリティを磨くことはもちろん、『ウチはどんな利用動機に強みがあるのか?』『どんな使い方をされることが多いか?』といった点について、常にお客さんにアンテナを立てていてほしいと思います。

ただし、個室が多いからファミリー向けとか、オフィス街だから宴会向けとか、安直に考えないでください。

狭いジャンルでの限定的な利用動機での一番をまずは目指すわけですから、他店でも言えるような、ありがちな利用動機では一番を取るのはまず難しい。

そこで結構ヒントになるのが、想定外の利用動機で予約をしてくださったお客さんです。

”特定の利用動機”の具体例


例えば(実際にあった例です)


1.『ビストロで喜寿のお祝い』


予約の理由:このお店はお箸でも食べられる。靴を脱いで座敷に上がるより、
テーブル席の方が年配者は楽。

2.『カフェで両家の顔合わせ』


予約の理由:少人数で貸切りができる。静かで落ち着いた店内はゆっくり歓談
できる。

どちらの例も普通なら、和のお店か、重厚なレストランでやるのでは、と思いがちですが、それは売り手の固定観念でした。

最初は驚いたそうですが、理由を聞いて納得。これをきっかけに、(お客さんから見た)自店ならではの強みが把握でき、特定の利用動機を絞り込むことに成功しました。もちろん両店とも料理や接客のレベルが高かったのは言うまでもありません。

実は、こういう予約をされるお客さんは、お店以上に、そのお店の魅力がわかっている、感度のいい貴重な方です。

あなたのお店でも、珍しい利用動機でのご予約が入ったら、ぜひお客さんに尋ねてみてください「どうしてうちのお店を選んでいただいたのですか?」と。こういった、感度のいいお客様の利用動機と、自らの分析をすりあわせて、あなたのお店ならではの“特定の利用動機”を絞り込んでいただければと思います。

次回は「ブランド化ケーススタディ」と題し、あるお店の成功事例を詳しくお話したいと思います。

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