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第10話 お店の“思い”

第9話で、地域に根ざしたお店ならではの“ブランド化”は、お店の“考え方”や“姿勢”をお客さんに伝えること。つまり、お店の“思い”を伝えることであるというお話をしました。

今回は、その“思い”をどうやってお客さんに伝えるのかという話をしていく予定でしたが、お店の“思い”が「いまいちピンとこない」「イメージがわかない」という方も少なからずいらっしゃるようなので、もう少し補足させていただきます。

お店の“思い”とは

例お店の“思い”を明確にするのと、しないのとではどれだけ差がつくのか、という典型的な例をご紹介します。その方がイメージしやすいかと思うので、参考にしていただければと思います。

手打ち蕎麦店での例

とある手打ち蕎麦組合から依頼を受けた研修でのことです。1回目の勉強会(参加者30名弱)で、まずお店の自己紹介をしていただきました。さすが全員こだわりの手打ち蕎麦屋さんだけあって、素材へのこだわりや調理法のこだわりなどを、それはそれは熱く語ってくださいました。

最初は1軒1軒のお店紹介に感動していたのですが、10軒20軒とお話を伺っていくうちに、どのお店がどう魅力的なのか区別がつかなくなりました。これは情報洪水でお店が選べなくなっている、今時の消費者と同じ状況と言えます。 そんな中、あるお店のご主人が「私は、地元の子供たちが今日は○○庵(そのお店の名前)に食べに行くよって言ったら『やったー!』って喜んでくれるお店になりたいと思って毎日蕎麦打ってます。」と自己紹介されたのです。大変印象的でした。記憶に残りました。

これがまさにお店の“思い”。料理や接客を通して“お客さんにこうなってほしい”。あるいは“地域の人々のためにこうありたい”という心意気です。ちなみにこのお店、当日参加していたお店の中で、断トツに繁盛していたお店でした。

このお店もほかの参加者さん同様、蕎麦通を満足させてくれるこだわりのウマい蕎麦を食べさせてくれるお店です。でも、ご主人はお店紹介の際、一言もそんなことは言ってません。でも、惹かれます、記憶に残ります、行ってみたくなります。

もちろん『地元の子供たちに喜ばれるお店になりたい』という“思い”を形にしたメニューやサービスも提供されていました。(ウェイティングスペースに絵本を置いたり、お子様連れにうれしい個室の完備、デザートを充実させたコース料理の開発等々)

情報洪水の昨今、蕎麦がうまいとか、○○にこだわっているといった、いわゆる商品よりの“売り”だけでは、差別化がなかなか難しい。いくらそこをアピールしても、お客さんはなかなか来てくれません。(一部の有名店を除いて)

前述した、蕎麦組合の勉強会での大多数のお蕎麦屋さんがまさにそういう状態でした。

お店の“思い”、ぜひ形にしていただければと思います。

次回は、お店の“思い”をどうやって伝えるかというお話をします。

お店の”思い”とは

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